家畜中毒

浸透殺虫剤の特性・原因

特性(1)効力の持続期間が長いこと。薬液を根から吸収させると4~6週間も残効があり、葉面撒布でも2~3週間持続します。(2)薬剤撒布が不完全でも、有効成分が植物体全部に浸透し殺虫力を発揮すること。(3)益虫などの天敵を殺さないこと。他の撒布...
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浸透殺虫剤 ~ ミパフォックス Mipafox(Isopestox)

イギリスPCL会社の製品でDiisopropylamine fluor phosphateの構造式は次の通りです。b.p.125°、m.p.65°、水に僅かに溶け、安定性があります。毒性は比較的少なく、マウス経口 LD₅₀ 20mg/kgで...
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浸透殺虫剤 ~ ジメフォックス Dimefox

1940年SCHRADER氏が合成し、1954年イギリスPCL会社が実用化したものです。性状有効成分は、Fluor phosphoric acid-di-dimethylamideで次の構造式をもちます。b.p.96℃水に可溶で安定性があり...
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浸透殺虫剤 ~ メタシストックス Metasystox(特定毒物)

性状(メチル・ジメトン methyldemeton)シストックスと同じくバイエル会社の製品で、O,o-dimethyl-0-(ethylmer-captoethyl)thiophosphateとO,o-dimethyl-s-(ethyl-m...
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浸透殺虫剤 ~ シストックス Systox

性状SCHRADER氏により1949年発表されたものです。O,o-diethyl-ethylmercaptoethyl thionophosphateでb.p.134℃、水に難溶70ppm、安定性が強い。シストックスは高温によりそのthio...
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浸透殺虫剤 ~ ぺストックス 3 Pestox 3,OMPA(又はシュラーダン Schradan)(特定毒物)

1940年来、SCHRADER氏によつて研究されたもので、その目的は薬液を植物の根、茎葉から吸収または浸透させ、有効成分を植物全体に、行きわたらせて害虫を殺すためで、主としてアブラムシ、ダニ、カイガラムシのような吸液害虫に有効です。毒性の強...
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有機燐製剤 ~ ガサチオン Gusation

1955年、バイエル会社が17147として発表したもので、有効成分はO,o-dimethyl-S-(4-oxobenzo-1,2,3-triazino-3-methyl)-phosphorodithioateで、次の構造式を有し、m.p.7...
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有機燐製剤 ~ ジプテレックス及びDDVP(劇物)

性状Dipterexは1954年バイエル会社より発表されたもので、O,o-dimethyl-l-hydroxy2,2,2-trichloromethyl phosphateで、これは室温で水溶液中比較的安定です。m.p.78~80℃、水には...
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有機燐製剤 ~ ポタサン Potasan

SCHRADER氏が1947年E838と発表したもので、有効成分はO,o-diethylthiophosphoric-4methyl-7-oxycoumarin esterで、次の構造式をもちます。毒性はネズミ経口LD₅₀ 15mg/kgで...
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有機燐製剤 ~ クロールチオン Chlorchion

クロールチオン1952年ドイツ、バイエル会社Schrader氏の合成したもので、パラチオンよりは遥かに毒性が少ないのが特徴です。クロールチオンの性状メチル・パラチオンに塩素1分子を附け加えた化合物、O,o-Dimethyl-O-(3-chl...
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有機燐製剤 ~ ダイアジノン Diazinon(劇物)

ダイアジノン DiazinonスイスのGeigy会社がパラチオンの毒性を減じ、しかも効力のある有機燐剤として1952年に発表したもので特徴は蒸気圧が強く、その毒性はパラチオンの1/10程度です。ダイアジノンの性状有効成分はThiophosp...
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有機燐製剤 ~ パラチオン・マラソン混合乳剤(PM乳剤)

パラチオン・マラソン混合乳剤(PM乳剤)パラチオンの毒性を軽減し効力を弱めぬようにしたもので、パラチオンとマラソンを混合し、それに特殊乳剤を添加したものです。製品は赤褐色乃至暗褐色の特臭のある比重1.1の油状液体で、水に注ぐと直ちに乳濁液と...
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有機燐製剤 ~ マラソン剤

マラソン剤 Malathonパラチオン系殺虫剤の毒性を軽減する目的で、1950年頃にアメリカACC社が合成したもので人畜に対する毒性はパラチオンの1/100位となって、燐剤中もっとも低い。製品は1952年に発表されました。性状純粋なものは黄...
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有機燐製剤 ~ EPN

EPNの性状アメリカのDupont社で1947年合成され、1950年から販売されました。有効成分はp-Nitrophenylbenzene thionophosphonateで、パラチオン類似化合物ですが、構造式に見る通りベンゼン核が直接P...
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有機燐製剤 ~ TEPP Tetraethyl pyrophosphate(毒物)

TEPPの性状この化合物は既にNYLEM氏(1930年)によつて合成されたもので、殺虫力は、その後SCHRADER氏等により発表されました。本剤の化学構造式は上記の通りで、パラチオンのSをOで置き換え↓の代わりに↓を入れているところが特異で...
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有機燐製剤 ~ メチルパラチオン Methylparathion

メチルパラチオンの性状dimethyl-p, nitrophenyl-thiophosphateであり、パラチオンのエチル基がメチル基に代わったものです。構造式は下記m.p35℃、水には僅かに溶け、アルカリには不安定です。殺虫力は、エチル体...
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有機燐化合物系殺虫剤

有機燐化合物系殺虫剤有機燐製剤は最近現れたもので、その端緒はドイツバイエル会社Lever kusen研究所のG.SCHRADER氏が共同研究者である生物学者のH.KUKENTHAR氏の助力を得て1934年以来、数千種におよぶ有機燐新化合物を...
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その他の有機塩素剤 ~ トキサフェン・メトキシクロール・DDD・D-D

トキサフェントキサフェン Toxaphene Octachloro-campheneの分子式はC₁₀H₁₀Cl₈でクロールデンと類似した性質を持ちます。テルペン混合物の塩素化によつて得られChlorinated campheneともいわれま...
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その他の有機塩素剤 ~ ヘプタクロール・クロールデン

ヘプタクロールHeptachlor 1949年にアメリカで生産され、本邦では昭和31年以来使用されています。性状科学名は1,4,5,6,7,8, 8-heptachloro-3a, 4,7,7a-tetrahydro-4, 7-methan...
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アルドリン・ディールドリン・エンドリン ~ 剖検・血液検査・療法

剖検甚急性の経過をとつたものでは、消化器系を初め心、腎、肝、脾などには特別の変化を認めませんが、血液の凝固不全と汚紫色があり、また脳の充血、血管の怒張は極めて著明です。血液検査中毒の甚だしいものは一般に白・赤血球の増加を来し、白血球では好酸...
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アルドリン・ディールドリン・エンドリン ~ 症状

症状(1)山羊で中毒が軽く回復する場合は、内服後凡そ120分で食欲の減退、瞳孔稍々縮小、4肢の強拘、呼吸の促拍、鼻端の攣縮に続いて1分間に1~5回位の瞬間的全身痙攣があり、次いで食欲の廃絶などを示しますが、170分位で僅かながら食欲が回復し...
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アルドリン・ディールドリン・エンドリン ~ 原因

本剤中、本邦において実際に使用したのは昭和30年春からで、家畜の自然中毒では苗代にエンドリン乳剤を使用し、その余り苗を乳牛に給与して中毒したものあるいはエンドリン乳剤の瓶を飼育槽の上の棚に置き、その原液が飼料に混入して斃死した豚などがありま...
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アルドリン・ディールドリン・エンドリン ~ 種類・性状・殺虫力・毒性

イネ二化メイ虫の特効薬とされたパラチオン剤も、人畜に対する危険が甚しく、この弊害を除き且つ効果の変る目的で種々の薬剤が発見され、1949年以来米国シェル化学会社によって製品化されたのがアルドリン、ディールドリンおよびエンドリンです。これらの...
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DDT・BHC ~ 剖見・療法

和牛のBHC中毒の剖見和牛のBHC中毒の剖見は次の通りです。体表淋巴腺の腫大、水腫。皮下織は黄色を呈し黄疸が著しい。胃 粘膜の肥厚、第二胃に点状出血の密発、爛斑、潰瘍(大きさ3~5cmから指頭大など)多発、第四胃の充血ならびに出血。小腸・大...
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DDT・BHC ~ 中毒例

a)馬 5才 牝午前7時頃外寄生虫の駆除に松毛虫駆除用3%粉剤(強力)を厩舎内に撒布し、また、皮膚にも相当量を撒布する。約3時間後、突然滾転する。症状は既に横臥し、一見神経系統を侵し痙攣が見られ、交感神経系の刺戟に鋭敏のようです。食欲の減退...
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BHC Benzene-hexachlorideまたはHexa-chlorocyclohexane(Cammexane,666)

BHCも亦すでに1825年ファラデー氏によつて結晶が造られましたが、殺虫力を認められたのは1942年イギリスの化学工業会の試験が導火線でした。しかし、その当時は効果がまちまちで実用化にはほど遠かったようです。ところが1945年イギリスのスレ...
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DDT・BHC ~ 中毒の症状

中毒の症状家畜中毒に対する詳細の実験は少いが、多くの報告や、治験例を綜合すると次の通りです。すなわち、DDT、BHCは家畜に対しても神経系統を侵し震戦、痙攣、蹌踉がみられ、この現象は脊髄から上の中枢神経系に対する毒作用によるもので、長期間D...
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DDT・BHC ~ 中毒の原因

中毒の原因DDTやBHCは人畜に対して毒性は弱いといわれますが、これは農薬として使用する濃度という条件であつて、過量の場合や薬剤の状態によって障害を及ぼし、DDT、BHCともに家畜の自然中毒は少くない。中毒の原因は粉剤を直接舐めたり、撒布後...