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顔面および頭蓋の疾患 ~ 顔面の軟部組織の損傷・顔面神経麻痺・三叉神経麻痺

顔面および頭蓋の疾患 顔面および頭蓋の疾患

 
 

顔面の軟部組織の損傷(injuries of the facial region)

 
 
原因:①打撲、蹴傷、衝突、転倒、飼槽、厩舎の鈎または釘による裂創を発しやすい。②鼻捻、勒などの使用失宣による挫傷、挫創を発する。③蒸気吸入の際に火傷などを発する。
 
 
④離乳期に採食する子犬が母犬に頭部を噛まれることがある。
 
 
症状:①一般に裂創、挫創が多く、挫傷性のものは溢血、腫脹がみられる。②馬具などによる慢性の損傷は痂皮、肥厚を生じ、また潰瘍を生ずることがある。③創傷感染があれば、リンパ管炎、フレグモーネをみる。
 
 
治療法:一般創傷療法に準じて処置する。損傷の部位によっては採食時の汚染防止の困難なことがある。なお、馬では血斑病purpura hemorrhagicaの際に顔面に浮腫が生じて腫脹することがある。
 
 

顔面神経麻痺(paralysis of the facial nerve)

 
 
解剖:顔面神経(第Ⅶ脳神経)は本来、純粋の運動神経ですが、茎乳突孔foramen stylomastoideumより外部に出てから混合線維となり、耳、上唇、頬などに分布する。
 
 
原因:中枢性麻痺は脳の外傷、出血および伝染性疾患などより発する。末梢性麻痺は、①外傷性、特に頭絡の金具による圧迫、打撲、②酷寒冷風、③耳下腺部の膿瘍、手術、出血、血栓などによる圧迫などが原因となる。
 
 
症状:馬に多く牛には少ない。中枢性麻痺の多くは両側性で、上下唇とも下垂し、採食困難で、鼻孔が狭窄して、呼吸困難を発し、特に運動時には鼻塞音が聞こえる。
 
 
動物は口唇を水面下に没しなければ飲水できない。また上眼瞼下垂、一側ないし両側の耳の下垂または非生理的な運動がみられる。末梢性麻痺は多く一側性で、上唇は健側に牽引され、採食困難となる。
 
 
下唇は下垂して閉じない。犬の場合は狂犬病などとの鑑別が必要です。
 
 
治療法:患部に皮膚刺激薬塗布、罨法、電気療法を行い、必要に応じて気管切開をほどこす。
 
 

三叉神経麻痺(paralysis of the trigeminal nerve)

 
 
三叉神経(第Ⅴ脳神経)は脳神経中最大の神経で、頭蓋腔内において眼神経(知覚)、上顎神経(知覚)および下顎神経(主に運動)に分かれる。
 
 
三叉神経麻痺は馬、牛には稀で、犬に発することがある。
 
 
咬筋麻痺または下顎麻痺ともいわれる。
 
 
原因:中枢性には脳内の出血、滲出物あるいは膿瘍の圧迫により、末梢性には神経経路における外傷、圧迫などに基因する。一般に狂犬病に基因するものが多く、その他中毒性疾患、ジステンパーなどの伝染性疾患による。
 
 
症状:咬筋の麻痺が特徴です。片側麻痺の際は健側のみで咀嚼し、舌の運動は異常はないが、咀嚼ははなはだ緩慢です。
 
 
両側性麻痺の際は液体は飲めるが、固形飼料はとることができない。
 
 
下顎は垂れさがったままで、舌は乾燥し口外に出している。手で押し上げれば口を閉じることができる。全身症状に著変はないが、顔、下顎、角膜などの感覚は鈍麻している。
 
 
診断:下顎脱臼の症状と似るが、脱臼時には他働的にも口を閉じることができない。
 
 
治療法:狂犬病の疑いのあるものは隔離観察する。その他の場合は麻痺に対する対症療法(電気療法、刺激療法など)を試みる。

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