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鉤虫症(症状・予防) ~ 犬鉤虫症は5ヶ月齢以下の子犬に被害が著しい

犬鉤虫 線虫類

 
 
犬鉤虫症は5ヶ月齢以下の子犬に被害が著しいが、感染を耐過した成犬は抵抗性を獲得し、保虫状態であっても、多くの場合、単独で症状をみることはありません。
 
 
犬鉤虫症を症状の特性から次の3病型に分けることができます。
 
 

●甚急性型

生後間もない哺乳期の子犬にみられる発症であり、生前に鉤虫症と診断されるよりも、死後に剖検によって確定診断されることが多い。
 
 
出生直後は健康ですが、生後1週間頃から下痢が始まり、やがて血便が混ざったり発育不良も目立ってきます。2週間後頃から急激に症状が悪化し、哺乳力減少、衰弱、激しい粘血性下痢、強い貧血状態となって死亡します。
 
 
この発症は多くが前寄生虫証明期にあるので、糞便中に虫卵は検出されません。

 
 

●急性型

重度感染を受けた幼犬に通常みられる発症です。はじめは食欲亢進の傾向がありますが、漸次、食欲不振となり、栄養失調、下痢をし、便には多量の粘血液が混ざり悪臭があります。
 
 
貧血から可視粘膜は蒼白となり、腹痛から悲鳴し、動作が落ち着かず、背弯姿勢をみます。衰弱が加わり、膿・粘液性の眼脂と、顎凹部、下腹部に浮腫、心機亢進、呼吸困難となり、ついに虚脱に陥ります。
 
 
また、糞便中には虫卵が多数検出されます。

 
 

●慢性型

最も普通に見られる病型で、臨床症状を示さず、寄生数も少なく、宿主との関係が悪化しないで均衡がとれている状態です。糞便中に少数の虫卵が検出されます。
 
 
甚急性、急性の両病型では血液所見に著しい変化が現れます。もっとも特徴的なのは赤血球数の減少であり、100~200万台に減少します。また赤血球容積、血色素量も低下します。
 
 
また、白血球数増加もみられ、好酸球数が15~20%に増加することもあります。血清蛋白量も低下し、アルブミン低下からA/Gは著しく低下します。
 
 
貧血は急性出血をきたす初期には正球性・正色素性貧血を示しますが、慢性感染で鉄欠乏になると、小球性・低色素性・不飽和性の貧血となります。
 
 
それは、生後2~4週齢の子犬は鉄予備が少なく、かつ母乳には鉄含有量が少ないので、出血による鉄欠乏を補うことができないからです。
 
 
貧血の原因は、虫の吸血、虫体鉤着部からの出血、粘膜損傷による潰瘍部出血など腸管内への出血に原因しますが、一方、鉤虫が分泌する催貧血性物質や溶血性物質の存在が、貧血の原因として関与するとの説があります。
 
 
しかし、おおくの研究者によって支持されているわけではありません。
 
 
めん羊、牛に寄生する羊鉤虫、牛鉤虫も犬鉤虫と同様に吸血し病原性が強い。重度感染によって、初期に軽度な腹痛と便秘をみますが、やがて下痢が現れ、体重減少、栄養不良、衰弱、貧血による粘膜蒼白が加わり、慢性の経過をとる重症例では顎凹部に浮腫をきたし死の転帰をとる。
 
 
めん羊、牛では毛様線虫その他の消化管内線虫との混合寄生によって病勢が悪化することが多い。Riekによれば、クイーンズランドでは牛鉤虫症は乳牛に著しく、単独または胃虫との混合感染によってしばしば死をきたし、子牛の発育は阻害されるが、肉牛の被害は軽微です。
 
 
牛における牛鉤虫に対する免疫の発現は明らかであり、Robertsは牛鉤虫症を耐過した牛は抵抗性がほぼ確実に獲得されることを報じています。
 
 
したがって、最もふつうに鉤虫症がみられるのは生後4~12ヵ月齢の幼牛です。また、発症は冬におおい。
 
 
鉤虫の成熟幼虫が経皮感染して皮膚炎を発生することがあります。犬では四肢特に趾間部の皮膚に最もよくみられます。最初は湿性湿疹の状態ですが、壊死、潰瘍もみられ、局所は湿潤し、二次感染から膿皮症への発展もみられます。
 
 
掻痒感が強く、跛行も認められます。
 
 
舎飼いの牛は、牛鉤虫成熟幼虫の皮膚感染によって脚部の掻痒感から、足踏みや脚部を盛んになめる動作がみられることもあります。
 
 
また、局所症状として皮膚炎が生じ、二次感染を併発することもあります。

 
 

鉤虫症の予防

 
 
鉤虫卵の発育に対する温度条件は鉤虫の種類によって差があります。これが、それぞれの鉤虫の分布域を左右する一つの因子となります。
 
 
一般に鉤虫卵は低温に弱く、虫卵発育の下限温度は犬鉤虫、牛鉤虫、羊鉤虫では15℃ですが、狭頭鉤虫は低温に強く5℃です。
 
 
被鞘した3期幼虫は抵抗力が強く、イリノイにおける草地での実験では犬鉤虫の場合、8月~11月上旬では平均24日、12月~2月では0日、3~8月中旬では6.6日間生存し、また地表温が3~23℃のときに生存可能であるということです。
 
 
したがって、鉤虫の予防には畜舎の乾燥、床のコンクリート化、糞便の処理を頻繁に行うとともに、駆虫は再感染のおこらない低温の時期に実施するのがよい。
 
 
また、出産計画を感染の少ない冬期(虫卵、成熟幼虫は低温に弱い)に立てるのも一策であるでしょう。

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