ヒトでは青酸カリ中毒が多いが、経口的に摂取された青酸塩は胃で青酸ガス(CN)₂になって吸収される。
家畜では青酸配糖体などを含有する植物の摂取によって中毒する。
青酸配糖体含有植物を摂取すると、咀嚼と嚥下の過程で同一植物内の分解酵素によって分解されて青酸ガスが発生する。
青酸は三価の鉄イオンと特異的に結合するので、組織細胞内のチトクローム酸化酵素の鉄と特異的に結合し、細胞内の電子伝達系を障害する。
血液中のヘモグロビン鉄は二価であるから結合しない。
しかし組織細胞ではチトクローム系でO₂を利用できないので動脈血のO₂を取込まず、このために静脈血が明赤色になる。
組織呼吸が障害されることによって最も強く影響を受けるのは大動脈弓や頸動脈洞の化学受容体で、血液中の酸素が不足しているように反応する。
このために中毒初期には呼吸興奮がみられる。
次に影響を受けるのは中枢神経で、下行性に麻痺が進行し、延髄が麻痺すると呼吸が停止する。他の器官は比較的感受性が低く、例えば心臓は呼吸停止後も数分間拍動する。
青酸中毒の治療には亜硝酸ナトリウムを投与してヘモグロビンの鉄を三価にする。
するとチトクローム系の鉄に結合していた青酸はメトヘモグロビン鉄に移行する。
次にチオ硫酸ナトリウムを投与して、青酸を体内のロダネースによって毒性の低いロダン(チオシアン酸)塩に変える。
但し、家畜の中毒では治療が間に合うことは稀です。
青酸(hydrocyanic acid) ~ 家畜では青酸配糖体などを含有する植物の摂取によって中毒する
呼吸器循環・体液平衡
