病歴(anamnesis)
一般外科診断と同様、性別、年齢、種類、産地および従来の全身的疾患について調査することは、診断上有力な手掛かりを与える。さらに現症の発生、経過、症状についてできるだけくわしく問診します。
一般に家畜の場合、特に眼疾患は使役に支障のないかぎりは、往々にして著しく重篤となるまで放置されて慢性化したものが多く、あるいは原因が不明なことが少なくない。
したがって、以上の参考事項の聴取は、型にとらわれずにできるかぎり詳しく行う必要があります。
視力検査(test for visual acuity)
動物の視力はもっぱら他覚的な徴候によって判定されます。通常行われる視力検査の方法。
②眼から約10~20cm離れた場所で、手、棒切れなどを突然振り、あるいは顔面を軽くたたき、これに対する眼瞼の反応をみる。
③光線に対する瞳孔の反応をみる。
④全身の挙動、動作、態度などを精細に観察する。
以上の各検査は必要に応じて一眼を遮蔽して片眼で行います。
一般に視力のないものは、未知の野外に出されると、歩様は緊張し肢を高揚し、頭部をしきりに上下に動揺し、また両耳をさかんに前後に振り動かす。また物事に驚きやすく、容易に騒擾する。
しかし、室内に飼育されて、その場所に馴れている犬や同じ道をくりかえし歩く馬車馬などでは、その挙動だけでは、健康なものとほとんど区別できないこともあります。
また、失明した乳牛でも、放牧の際には同じ群の牛にくっついて歩くことを覚えるため、判別困難で発見が遅れることがあります。
視診(肉眼的検査)inspection, nakd eye examination
検者による肉眼的検査は臨床的には日常もっとも普通に行われるもので、その熟練、巧拙はその成果に大きな差を生じます。一般に眼の外部より内部へと順序を追って検査を進める。
まず動物に接近したならば、ただちに被検眼に触れることは避けて、適当な光線下で綿密な外景の観察を行う。この際は特に眼瞼裂、眼瞼の開閉状態、眼の周囲、涙液の性質、睫毛の状態などをみます。
次いで必要があれば手で眼瞼裂を開いて、眼球、角膜、前眼房、虹彩、瞳孔、水晶体について観察する。また触診を行って、眼圧、温度、膨隆度など視診のおよばないところを十分検査します。
一般に羞明photophobiaあるいは疼痛のある時は眼瞼の接触を著しく忌避するものであるから、その際には、保定、麻酔などについて十分留意しなければなりません。

