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結膜の疾患 ~ 瞬膜の肥大および脱出

結膜の疾患 ~ 瞬膜の肥大および脱出 眼の疾患

 
 

結膜炎(conjunctivitis)

 
 
眼疾患中もっともしばしば見られますが、全身性の疾患の一症候として発生することも少なくないので、診断および治療は必ずしも単純にはいかない。
 
 
綿密な一般診断でしばしば全身病を発見し、さらに局所検査で、眼疾患を見出すのです。臨床的には次のように分けられます。
 
 

急性カタル性結膜炎(acute catarrhal conjunctivitis)

 
 
原因はきわめて多様で、機械的な刺激(眼瞼内反または外反、睫毛乱生、眼瞼の皮膚疾患、輸送時の風圧、野外あるいは厩舎内の煤塵、藁埃)、アレルギー性(特殊な雑草、花粉、砂埃、特殊薬物の長期使用、紫外線、放射線)、ジステンパーなどの全身性感染病、その他細菌性、ウイルス性などの疾患の二次的な症状として、また他の眼疾患に継発する場合、などです。
 
 
結膜は潮紅、充血、腫脹し、水様あるいは粘稠性の種々な粘液、膿様分泌物があり、羞明、眼瞼閉鎖などがみられる。治療法としては、原因除去が第一ですが、まず結膜嚢を1日数回無菌洗浄液(1%食塩水、2%硼酸水、0.5%硫酸亜鉛水)で十分洗浄する。
 
 
その後は温和な無刺激性眼軟膏、油剤を使用する。アレルギー性の場合はステロイド-抗ヒスタミン軟膏製剤を投与する。感染性の場合はサルファ剤、抗生物質などもステロイドとともに考慮します。
 
 

慢性カタル性結膜炎(chronic catarrhal conjunctivitis)

 
 
原因は急性のものとほとんど同様なものが考えられますが、多くは病原体が強力で、症状が軽く持続しているものです。これらの際は特に、結膜の病理組織学的検査を慎重に行い、中性多核白血球増多が主体となる時は細菌性病原体を疑い、リンパ球増多および好酸球増多が著明な時はアレルギー性の原因を考えなければならない。
 
 
単核球増多の場合は、ウイルス性病原体を考えるが、特に猫の場合は上皮細胞内に封入体が認められる時は、マイコプラズマの感染についても考慮しなければならない。
 
 
症状としては、一般に潮紅、滲出物貯留の程度は軽く、主として結膜の肥厚、血管の拡張、結膜表面の粗糙や不平坦がみられる。
 
 
治療法としては、全身的疾患があればこれに留意し、病原微生物を探求して適切な薬剤を使用する。対症的には、収斂剤(0.5%の明ばん、0.5%の硫酸亜鉛など)による洗浄を主とし、使用薬剤を適宣変える必要がある。
 
 
Magraneは硫酸亜鉛結晶による焼烙を推奨している。
 
 

化膿性結膜炎(purulent conjunctivitis)

 
 
本症は全身病の一症候群として出現することが多い。特にブドウ球菌、レンサ球菌の感染例が主です。一般にカタル性結膜炎より一層激烈な症状を呈するもので、粘稠な膿様分泌物、角膜炎への波及がみられ、その他一般眼症状もかなり顕著です。
 
 
さらに長引くと眼瞼癒着、角膜の潰瘍、血管新生にまで至ることがある。治療法としては繰り返し収斂、消毒剤で灌流を行うとともに、眼内部の疾病にも十分留意し、それに対する処置を怠らない。病原体の薬剤抵抗性を確認し、広域性抗生物質の使用を考慮し、気長く治療を続ける必要がある。
 
 

濾胞性結膜炎(follicular conjunctivitis)

 
 
本症はカタル性結膜炎にさらに眼瞼、眼球結膜の濾胞の腫脹を伴ったもので、犬の場合には、瞬膜の濾胞が腫大することが多い。発病機転については不明な点が多いが、風、塵埃のような機械的刺激によるか、あるいはなんらかのアレルゲンによるアレルギーと考えられています。
 
 
元来、犬では顕著な眼症状を示さないにもかかわらず、濾胞の腫大しているものがある。特に著明な結膜充血、疼痛、羞明、流涙があるときは、治療を必要とする。
 
 
濾胞の破砕、洗浄、収斂は必要です。時には濾胞を破砕せずに、そのまま局所に抗生物質-ステロイド混合剤を投与して症状の軽快をみることがある。
 
 

新生獣眼炎(ophthalmia neonatorum)

 
 
本症は新生子犬および子猫がいまだ眼瞼の開かぬ時期にしばしば認められるもので、急性化膿性結膜炎を呈し、眼瞼は腫脹し、膿性滲出物が眼瞼間隙から漏出し、胎生期中の感染であることを示す。
 
 
眼の比較的外部の感染でいまだ内部は侵されていない。子牛の場合にはかなり内部まで感染が進んで、前房蓄膿、後方癒着などをきたしていることがある。
 
 
治療は一般に眼瞼の癒合、癒着を除去し(手指で開くかハーパー刀などで内眥を切開する)、抗生物質(テトラサイクリンなど)の全身的投与と同時に、局所にも同じく抗生物質軟膏、アトロピン軟膏などを塗布する。とくに時期が遅れたものか重症感染(この時は摘出手術を行う)でないかぎり、予後は良好です。
 
 

その他のタイプの結膜炎

 
 
涙管の狭窄ないし閉塞、マイボーム腺炎、乾性角結膜炎、寄生虫(テラジア眼虫)および全身性の他の病巣の波及による諸種の結膜炎が考えられます。
 
 

瞬膜の肥大および脱出(hypertrophy and prolapse of the nictitating membrane)

 
 
主に大型犬(セントバーナード、グレートデン、ラブラドールなど)にしばしば見られる瞬膜、特にその遊離端の肥大は、結膜炎、ことにジステンパーに併発した結膜炎に継発することが多い。
 
 
また腫瘍(上皮腫、内皮腫、癌腫、まれに肉腫)、異物によってもおこる。肥大した瞬膜はさらに結膜嚢外に脱出する。また瞬膜の著しい露出は、馬の強直症、猫ジステンパーの際にもみられる。
 
 
瞬膜基部の浅および深第三瞼腺の腫大あるいは腺腫はハーダー腺腫adenoma of Harderian glandとも呼ばれ、犬で脱出をきたすことがある。
 
 
治療法:局所麻酔後、腫大ないし脱出した部分の基部を鉗圧、切除し、洗浄消毒すれば、一般に予後は良好です。ハーダー腺切除の場合は出血の著しいことがある。

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