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腸の損傷(injuries of the intestine) ~ 腟よりの損傷・手術による損傷・盲腸の食滞(便秘)、拡張および捻転

腸の損傷(injuries of the intestine) ~ 腟よりの損傷・手術による損傷・盲腸の食滞(便秘)、拡張および捻転 腸の疾患

 
 

腟よりの損傷

 
 
分娩時に、胎児の一部によって直腸壁に穿孔がおこることがある。この場合、多くは直腸腟瘻rectovaginal fistulaが形成され、不妊の原因ともなる。
 
 
会陰部を切開し、直腸および腟の裂孔を閉じる手術が行われている。
 
 
直腸瘻:直腸には、直腸腔瘻とは別に直腸瘻fistula of the rectumがある。これは直腸周囲膿瘍、直腸壁のやや深い創傷、あるいは肛門周囲の外傷が原因となって発生するものですが、家畜には稀れなものです。
 
 
直腸全瘻と直腸不全瘻に分けられる。
 
 
犬の肛門嚢炎および肛門周囲腺炎との類症鑑別が必要です。
 
 

手術による損傷

 
 
ヘルニア手術や牛・馬の卵巣剔出術あるいは開腹手術の際、あやまって腸管を傷つけることがある。また、腸切開、腸穿刺、腸切除、腸の吻合術などは、人工的な損傷と考えられる。
 
 

盲腸の食滞(便秘)、拡張および捻転(impaction, distention and torsion of the cecum)

 
 
外科手術と関係ある盲腸疾患の主なるものは、馬の盲腸便秘疝・風気疝、牛の盲腸拡張・捻転、犬の盲腸結腸重積・食滞・拡張・鞭虫寄生です。
 
 
馬:盲腸の便秘は馬の疝痛の一つであって、著明な腹痛を現す。治療法としては、塩類下剤の投与、流動パラフィンの盲腸内注入が行われていますが、外科的には盲腸切開術cecotomyなどを行う。
 
 
馬の風気疝の場合には、主として結腸、盲腸に多量のガスが貯留し、腹部は膨満する。右膁部に套管針を刺し、ガスを排除する。便秘と鼓脹とは相互に関係が深いので、便秘の治療を併用することもあります。
 
 
犬:盲腸疾患は多くはない。食滞には盲腸切開が行われる。拡張には盲腸切除術cecec-tomyが行われることもある。
 
 
盲腸結腸重積cecocolic intussusceptionは、盲腸が結腸内に内反し重積をおこす。ついには肛門より脱出することがある。犬は著しく努責する。
 
 
手術としては、開腹後、結腸を切開して内反した盲腸を切除、結腸切開創を縫合する方法(K.W. Huffman,1958)などが行われる。なお、盲腸の鞭虫寄生の場合にも盲腸切除術が古くから行われている。
 
 
牛:盲腸の拡張・捻転がときおり発生する。
 
 
(ⅰ)原因:盲腸端(頭)は腸間膜をかいているので、拡張した場合、捻転の素因となる。盲腸内容の停滞、醗酵によるガス発生、盲腸壁のアトニーなど相互に関連して拡張がおこり、ついで捻転が発生すると考えられます。
 
 
しかし、真の発生機序は詳細にはわかっていない。また捻転により内容が閉鎖されれば、発生ガスにより拡張は促進され、捻転の度をますのでしょう。
 
 
病因論については、腸閉塞と同様に考えられます。
 
 
(ⅱ)症状:牛の腸閉塞の一つであり、症状もほぼ同じです。急性に発病するが、腹痛は馬の疝痛にくらべれば軽い。排糞は普通停止し、直腸検査により粘液をみとめる。
 
 
血便はまれにみられることもある。数日間経過した例では、ガスと液体で著しく膨脹している状態を右膁部で認めることができ、また液体の音をきくことがある。
 
 
内容は流動状で右膁部を叩打聴診すれば、多くは金属性反響音を聞く。直腸検査により、著しく膨満した1個のループが骨盤の直前、第一胃の後方あるいは内側よりに腹腔を横切って、水平に走っているのがふれる。盲腸端は触知可能です。
 
 
体温・脈拍数・呼吸数は正常、食欲は廃絶し、第一胃もほとんど動かない。
 
 
捻転は左または右まわりで、多くは回盲結口付近でおこる。類症鑑別としては、第一胃アトニー、第四胃の拡張・右方変位・捻転、腸閉塞などを対象とする。
 
 
(ⅲ)治療法:いったん捻転が発生すれば、外科手術によらなければならない。
 
 
右膁部を切開し、手を挿入して捻転の状況を確認した後、盲腸端を捻転と逆方向に回転して整復する。しかし多くは整復困難であるので、盲腸穿刺によりガスを排除してから整復する。
 
 
多くはガス排除のみで自然にもとにもどる。盲腸切除術も行われている。

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