指骨瘤
繋部および蹄冠部に生じた骨瘤を指骨瘤といいます。
これには次のような分け方があります。
高指骨瘤と低指骨瘤
基節骨の下端か中節骨上端、または両者に発生したもの
中節骨の下端か未節指骨の上端(ことに伸筋突起)または両者に発生したもの。
後者は伸突骨瘤(pyramidal disease)といわれます。
関節性および関節周囲性指骨瘤
冠関節または蹄関節の関節面に生じたもの。
主として関節周囲に骨瘤が形成され、関節面はあまり冒されない。
このうち、骨を環状に取り巻いて形成されたものを、古くは環骨瘤(zirkuläre Schale)と称した。
既述のように、指骨瘤は変形性関節症の一つと考えられ、あらゆる種類の運動によって関節に加えられる無数の微小な、時にはかなり大きな衝撃の反復によって、関節軟骨に微小な損傷が発生して生ずる関節軟骨の退行性変化と、関節辺縁の靱帯、腱鞘、粘液嚢、骨膜などの軟部組織に増殖性変化が生じます。
指骨瘤の場合は、ことに増殖性変化が顕著です。
原因:
老化による関節の退行性変化が主体ですが、過度あるいは早期の使役、硬地上の運動、負重の不均等をきたす不正肢勢(著しい起繋、内向または外向肢勢)、運歩失調、捻挫は本症の発現を促進します。
また直達損傷に起因することがあり、クル病や馬のいわゆる骨軟症は素因となります。
低指骨瘤は、しばしば蹄骨伸筋突起の骨折に継発します。
なお、血統によっては、遺伝性に多発することがあるといわれます。
症状:
前肢に発生することが多く、後肢には比較的少ない。
繋部の下1/3または蹄冠部に硬い腫脹が発生する。
跛行は一般に徐々に発生し、突発することは少ない。
支跛を呈し、常歩では顕著でないが速歩では明瞭となります。前面に病変がある時は蹄踵先着、後面の病変の時は、蹄尖先着を呈する。
運動させると、跛行ははじめ顕著ですが、後には次第に軽減し、硬地上の運動あるいは旋回運動の際にはいっそう憎悪します。
静止中は患肢をやや前方に出す。他動運動、ことに関節の回転運動に対して疼痛を訴える。
長期の経過により、肩または臀の筋肉が萎縮する(廃用性萎縮)。
初期には患部に熱があり、圧痛を示すのが普通です。骨瘤は徐々に増大して、ついには関節運動を妨げて跛行の原因となります。
しかし、関節強直を生ずれば跛行は消失します。
病変の詳細はX線検査によって確かめます。これはことに初期において重要です。
治療法:
発症後初期に発見された、いまだ骨の増殖がおこっていない関節性の病変の場合には、患部を冷却し、時にはギプス包帯をほどこして固定し(4週間)、その後休養させる(4ヶ月).
また平坦削蹄を心掛ける。高度の退行性変化および骨贅生を示すものは、予後不良です。
長期にわたって跛行の消失しないものに対しては、あらかじめ局所麻酔剤による診断的注射を行って患側を確認した上で、神経切除術(切神術)neurectomyを実施すれば、なおかなりの使役にたえる。

