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骨折の治療 ~ 骨プレートによる固定

骨プレートによる固定 骨折

 
 

骨プレートによる固定

 
 
金属製のプレート(bone plate)をネジで留めて骨片を固定する考案は、Lambotte, Lane, Sherman以来のものですが、当時は金メッキをほどこした鉄片を使用したため、メッキが剥げて鉄が腐食し、組織の化膿など種々の不都合な反応がおきて、結果が良くありませんでした。
 
 
その後、18-8ステンレススチール、Vitalliumのプレートが登場して多くの問題点が解消しましたが、特に1963年以来、MüllerらのAOグループによる圧迫プレート法(compression plating)が紹介されて、骨プレートによる固定法は再び注目を集めるに至りました。
 
 
旧来のプレート固定法では、数個のネジでいったんプレートを骨に固定すると、骨の断端の接着が強すぎても、あるいは離開して間隙があっても、それらの状態は矯正されることなく経過するため、断端部の壊死または多量の仮骨の増殖がしばしばおこって、骨折の治癒の遅延がさけられませんでした。
 
 
それに対して圧迫プレート法では、特殊な圧迫装置、または特殊な形のネジ孔をもったプレートを使って、断端が密着して間隙がなく、かつ断端間に圧迫力が加わるように骨片を非常にしっかり固定し、また旋回転位を防ぐ結果、仮骨がほとんど形成されない骨の一次性治癒が得られます。
 
 
圧迫プレート(compression plate)には、機能の上から締結プレート(tension band plate)、中和プレート(neutralization plate)、および支持プレート(buttress plate)が区別されます。
 
 
締結プレートは、骨に張力が加わる側に適用するもので、張力をうけとめてそれを軸方向の圧力に変えるため、両骨折端が圧迫によって密着し、固定力が著しく増強されます。
 
 
犬ではこれを適用できる骨が限られていますが、大腿骨と橈骨の横骨折に対して、大腿骨の外側面(大腿骨頸の反対側)または橈骨の前内側面に装着します。
 
 
上腕骨と脛骨に使用することは少ないが、上腕骨では前面または外側面に、また脛骨の骨折の際にはその内側面に装着することがあります。
 
 
偽関節の治療にも適しています。
 
 
中和プレートは、単に骨片を整復位に保持して、骨折部に加わる力を中和するのが主な役目のプレートです。
 
 
主として短い骨片や、蝶形骨折などの際に生じた小さい介在骨片を圧着ネジで固定した後、骨に作用する屈曲力と捻転力を、近位から遠位の骨片に橋渡しして、骨折面に不利に作用するはずの力を中和し、骨片の動きを防ぐ目的に使用されます。
 
 
圧着ネジと中和プレートの併用は、斜骨折および螺旋骨折でも行われます。
 
 
支持プレートは、海綿質の多い骨領域、主として骨幹端に使用されるもので、薄い皮質を支えて、骨片の動きを防ぐはたらきをします。
 
 
圧迫プレートは、AOグループまたはASIFグループの考案した圧迫装置を使って装着する場合と、圧迫装置を使うことなく、すべり孔を設けたK-U式圧迫プレートを装着して目的を達成する場合とがあります。
 
 
前者では、圧迫装置で骨片を動かして断端を密着させ、後者では、すべり孔をネジが滑動することによって、断端を密着させます。
 
 
そのほか人用には、大腿骨頸の骨折と転子貫通骨折に対して大転子から刺入するため、先端に刃をつけ、また130°にまげた有刃プレート(130°blade plate)、大腿骨上顆骨折や転子貫通骨折に使用する顆用プレート(condylar plate)、真直ぐな細い骨に使用する半管状プレートなどがあります。
 
 
骨の大きさおよび荷重に十分見合うサイズのプレートを使用しないと、プレートが破損することがあります。また締結プレートを骨の張力の側でなく圧力がかかる側に装着すると、屈曲作用のために、プレートが疲労して破損します。
 
 
プレートを固定するネジは、それぞれの骨片に2個以上挿入する必要があります。
 
 
プレートが破損した時には、ただちに除去しなければなりません。ネジが弛緩した時には締め直すか、状況によっては、プレートの装着をやりなおします。
 
 
プレートは、骨片の癒合が完了したのち、骨が本来の強度を回復するまで、できるだけ長期間装着しておくのがよいとされ、その期間は成畜で4~12ヶ月といわれています。
 
 
しかし一方では、プレート直下の骨皮質が、その間、長期にわたってストレスから解放されるため、構造が海綿質様になり、また脱灰がおこって、骨の強度が著しく低下します。
 
 
実際面では、これがプレート除去の目安のひとつになっています。
 
 
プレートを除去したあとにのこるネジ孔の存在もまた、骨の強度を低下させています。この孔は、徐々に骨組織によって埋められますが、それが完了するまでには6ヶ月以上、時には1年余の長期を要するので、その間は再骨折などの事故の発生を監視する必要があります。

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