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伝染病、寄生虫病の媒介者・中間宿主としての害

伝染病、寄生虫病の媒介者・中間宿主としての害 家畜害虫

 
 
ダニや昆虫が病気に罹患している家畜に寄生して、病原体をダニや昆虫の体内にとり入れたり、あるいは体表に付着させたりして、その家畜から離れ、別の健康な家畜に寄生する時、その病原体を感染させることがあります。
 
 
このように脊椎動物から脊椎動物に細菌、リケッチア、ウイルスあるいは原虫や蠕虫を運搬する節足動物やその他の無脊椎動物を、媒介者、運搬者、vectorなどといっています。
 
 
病原体や寄生中がvectorの体内で発育したり、増殖したりするものをbiological vectorといい、発育、増殖しないで単に運搬するものをmechanical vectorといっています。
 
 
また中間宿主intermediate hostとは寄生虫の未成熟期が存在する宿主のことで、終宿主definitive hostとは成熟期のいる宿主をいっています。
 
 
したがってbiological vectorはintermediate hostとなることはありますが、逆にintermediate hostは必ずしもbiological vectorではありません。
 
 
このようにダニや昆虫が単に病原体や寄生虫を運搬する場合と、これら害虫の体内で病原体や寄生虫が増殖したり発育することがあります。
 
 
たとえば大腸菌やサルモネラ菌をハエが脚の末端に付着して他の場所に運搬する場合には、このハエのことをmechanical vectorといっています。
 
 
しかしながら、鶏の病気であるロイコチトゾーン症の病原原虫Leucocytozoon Caulleryiをニワトリヌカカが摂取して、他の鶏に吸血するときこの原虫を感染させる場合はニワトリヌカカのことをbiological vectorといっています。
 
 
この際、原虫はニワトリヌカカの体内では性成熟をして有性生殖をなし、スポロゾイトを排出します。鶏の体内に入った原虫は無性生殖をしています。
 
 
中間宿主の定義によるとLeucocytozoon Caulleryiに関しては鶏が中間宿主で、ニワトリヌカカが終宿主ということになります。
 
 
しかし、一般には鶏を中心に考えてニワトリヌカカのことを中間宿主といっています。
 
 
このことはマラリア症のときも同じで蚊は終宿主でありますが、一般的には中間宿主といっています。
 
 

吸血の害

 
 
吸血性の害虫が多数寄生し、吸血すると宿主は失血して貧血を起こし、削痩して体力は弱って、二次的に他の病気になりやすくなります。
 
 
また、泌乳、増体、産卵などという家畜生産性の低下だけでなく、死亡する家畜さえでてきます。
 
 
さらに吸血性害虫が吸血するとき唾液を排出しますが、唾液中には溶血性物質や皮膚アレルギーに対するアレルゲンを含むものが多いので、宿主は痒覚、皮膚発赤などを呈します。
 
 

寄生による害

 
 
吸血性のダニや昆虫は宿主に寄生して吸血するので、吸血も寄生による害のひとつです。しかし、ここでいう寄生の害とは、寄生による宿主の直接の被害です。
 
 
たとえば、鶏には多くのハジラミが寄生しています。このハジラミは鶏の体表に存在して皮膚の落屑(ふけ)、羽毛、滲出物、時には小出血の血液をたべることがあります。
 
 
このようなハジラミが鶏に寄生すると、鶏は極端な痒覚をおぼえて安眠ができず、飼料の摂取量も減少します。
 
 
また、放牧中の牛、馬に非刺咬性のハエがうるさくつきまとって飛んでいることが多い。この場合も家畜は安静をさまたげられます。
 
 
そのほか、ヒゼンダニの寄生は家畜に痒みを与え不穏な動作をくりかえします。
 
 
このように、害虫が寄生すると宿主はそのストレスのため、不安、不眠、採食減などという精神的なマイナス現象を示して、家畜の生産性は減退します。
 
 

皮膚炎をおこす害

 
 
害虫の寄生によって家畜は精神的なデメリットを受けるばかりでなく、皮膚は発赤、腫脹、丘疹、潰瘍、膿瘍をつくる。
 
 
これらの皮膚炎は痒覚を伴い、家畜は体を樹木、柱、壁、床その他の器物にこすりつけるので、皮膚炎はさらに悪化し、二次的細菌感染を起こしたり、広範囲の皮膚がおかされます。
 
 

生産物への汚染

 
 
家畜から得る畜産物は清鮮な食品です。ところが鶏の肛門付近に多数のトリサシダニが寄生していて、産卵の際ダニが卵殻に移行し、消費者に不潔な印象を与えることがあります。
 
 
また、乳牛より搾乳した乳汁中にハエが落下することがあります。
 
 
このようなことは清鮮食品としての畜産物のイメージダウンになります。
 
 

生産性の低下

 
 
各種のダニや昆虫がvectorとなって家畜を病気にさせたり、吸血、寄生などの影響の結果はすべて家畜の生産性の低下に連なります。
 
 
ウシバエ幼虫症を例にあげると、生産性の大きな損失は莫大なものであることがわかります。ウシバエ幼虫は牛の背部皮下に寄生し、皮膚に孔をあけて生存しています。
 
 
この孔の周囲の組織も正常なものではなくなり、牛を殺して皮革とした場合背中に多くの孔ができ、背部は皮革としての価値を失うようになります。
 
 
さらに、寄生部位の筋肉は食用にできなくなり廃棄しなければならなくなります。
 
 

不快感を与える害

 
 
牛にマダニが多数寄生していたり、豚にシラミが寄生していたりすると、それらの牛や豚は不潔で不快感をおぼえます。
 
 
これら寄生性の害虫の場合にはその家畜だけが不潔で、不快だと感じるだけですみますが、この不快感が不特定多数の人に影響を与えるとなると深刻な問題を惹起します。
 
 
家畜を飼養している者の家畜管理の不備から、多数のハエが堆肥から発生し付近の住宅内に侵入することがあります。この場合、その家族はハエの来襲によって非常な不快感を得て公害問題となることがあります。この場合、ハエが飛んでいることが不潔感、不快感、嫌悪感となり生活を不快にさせます。
 
 
こういうことをnuisanceといっています。家畜害虫の害は家畜自身が被害者であることが多いですが、最近の社会問題として家畜飼養に伴って家畜が加害者となることもあるので、このようなnuisanceの問題は大きくとりあげるべきです。
 
 
以上のように各種の害は宿主に対して単独に影響を与えることは少なく、それぞれが関係をもち家畜の生産性を減退させたり、死をもたらしたり、公害問題となったりすることがあります。

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