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ダニについて詳しく解説

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ダニについて 家畜害虫

 
 
ダニは節足動物Arthropoda、クモ綱Arachnida、ダニ目Acarinaに属しています。
 
 
クモ綱の中にはダニ目のほかクモ目Araneidaがありますが、クモとダニの区別は次のような点で異なっています。つまりクモの体型は頭胸部と腹部とに分かれ、その間にくびれがあり、脚は原則として幼虫から成虫まで4対です。
 
 
ダニは頭胸部と腹部は融合して一塊となり胴体部を形成し、その間にくびれがなく、脚は幼虫(幼ダニ)では3対、若虫(若ダニ)と成虫(成ダニ)では4対です。
 
 
ダニは一般的に楕円形をして、小さく、昆虫のように頭部、胸部、腹部の区別はありません。また、触角と翅はありません。
 
 
眼の複眼はありませんが、単眼はある種類とない種類があります。
 
 
ダニの付属器官は6対あって、前方にある2対は摂食に関係し、あとの4対は体の移動に関係しています。すなわち、前方にある2対の付属器官は鋏角cheliceraと触肢pedipalpです。
 
 
鋏角は先端が鋏状になっているか針状になっています。一方、触肢は感覚器で節からなっていて脚のようにみえます。
 
 
胴体部の前端にある顎体部には鋏角、触肢のほか口下片hypostomaがあります。マダニの口下片には顕著な歯を有します。
 
 
外部生殖器は普通、腹面にあり、肛門も腹面に開口しています。体の移動に関係する4対の脚は同型です。脚は基節coxa、転節trochanter、腿節femur、膝節genu、?節tibia、跗節tarsusの6節よりなりますが、腿節がさらに2節に分かれているものもあります。
 
 
跗節の末端には原則として1対の爪clawと1個の爪間体empodiumとがあります。時には吸盤とか長毛で終わるものもあります。
 
 
ダニは卵生で雌ダニは卵を産み、卵から孵化した幼虫を幼ダニlarvaといって、形は成ダニと似ていますが脚は3対です。
 
 
幼ダニは脱皮して4対の脚の若ダニnymphになります。
 
 
若ダニと成ダニは非常に似ていますが、若ダニは外部生殖器がないので成ダニと区別できます。ダニの発育は多くの昆虫のように完全変態complete metamorphosisをしないで、不完全変態incomplete metamorphosisをします。
 
 
すなわち、卵→幼ダニ→若ダニ→成ダニと発育し、雌雄異体です。
 
 
ダニの形はふつう卵円形をしていて節はありませんが、ニキビダニ(毛包虫)の形は独特です。ニキビダニは細長く、いも虫状をしていて胴体部に環があります。
 
 
多くの種類のダニは背板plateをもっています。マダニの雄の背板は大きくて背部を覆っています。また腹板、肛板などをもっている種類もあります。
 
 
ダニの消化系は鋏角と口下片で摂取した食物は口から咽頭、食道、中腸、直腸を経て食物の残りは肛門から排泄されます。
 
 
唾液腺は唾液管によって口の近くに開口しています。マダニはよく発達した気門で呼吸していますが、気門や気管が消失しているものもあります。
 
 
ダニの種類はきわめて多く、1万種をこすといわれています。その生活場所は非常に広く、地上、土中、水中、樹木上、動物体表および体内、あるいは食品などです。
 
 
家畜、家禽に寄生するダニはごく限られた種類であるとはいえ、伝染病のvectorとなったり、家畜の生産性を減退させるものが多い。
 
 
たとえば、放牧中の牛がマダニの寄生をうけて、栄養障害となったり、ピロプラズマ病に罹患することがあります。
 
 
豚の疥癬、鶏のワクモ、犬の毛包虫などのように、ダニということばを使っていないものもありますが、これらのダニも動物に大きな害を与えています。
 
 
一方、堆肥中にはイエバエの卵や幼虫を捕食する有益なダニもいます。
 
 

ダニ目は次の5亜目に分かれている

 
 

①多気門亜目Onychopalpida

原始的なダニで、種類も少なく、自由生活をしていて人畜への影響はみとめられません。
 
気門は1~4対あります。

 
 

②中気門亜目Mesostigmata

腹側面に1対の気門板と気門があります。
 
口下片の発育は悪く、歯はなくて刺すのに適していない。しかし、寄生性のダニは鋏角が刺針状になっています。
 
これらは、哺食性、吸血性のものが多く、家畜害虫として重要です。

 
 

③マダニ亜目Ixodides

マダニとヒメダニに分かれています。
 
腹側面に1対の気門板と気門があります。
 
口下片は穿刺に適していて、良く発達した歯があります。いわゆるtickといわれるダニで、家畜の放牧衛生上重要なダニです。

 
 

④前気門亜目Trombidiformes

呼吸器官がないようにみえますが、口器の近くに1対の気門があります。口下片の発育は悪く歯はありません。
 
また口下片は刺すのに適しません。
 
触肢はよく発達していて脚のようにみえます。鋏角は刺すようになっていて鋏状ではない。ツメダニ、ニキビダニなどがこれにふくまれます。

 
 

⑤無気門亜目Sarcoptiformes

呼吸のための開口部はありません。
 
触肢は退化し、鋏角は裂くのに適していて鋏状になっています。家畜害虫としてはヒゼンダニが重要ですが、ササラダニもここに属しています。

 
 

中気門亜目 Mesostigmata

 
 
中気門に属するダニの多くの種類は、地表で自活していますが、他の節足動物に付着あるいは寄生したり、脊椎動物に寄生して吸血するものもあります。
 
 
イエダニ、ワクモ、トリサシダニ、ミツバチヘギイタダニのように人や鶏、あるいはミツバチの害虫として重要な種類もあります。
 
 
一方、ハエダニのように、イエバエの卵や1齢幼虫を捕食して、イエバエの天敵となっている有益なダニもいます。
 
 
中気門類のダニは、一般的に1mm前後の大きさをした楕円形の小さなダニで、その形はダニの特徴を示し頭、胸、腹の区別はなく、口器のある顎体部と胴体部に分かれています。
 
 
顎体部には鋏角、触肢、顎体基部および叉状突起があります。
 
 
鋏角はワクモ、トリサシダニのような寄生性ダニでは穿通刺になっています。また、胴体部の背面、腹面には褐色または暗褐色をした各種の肥厚板があります(背板、胸板、生殖板、肛板など)。
 
 
さらに、腹面には4対の歩脚(幼ダニでは3対)を生じています。なお、第1歩脚の先端には感覚毛があります。歩脚の先端には2コの爪と1コの爪間体があります。
 
 
気門stigmaは腹面に1対あり、第3、第4歩脚基節の外側にある(気門が胴体部の両側のほぼ中央部にあるので中気門亜目といっています)。
 
 
気門から周気管peritremaが前方にのびています。また、生殖板には性門を、肛板には肛門をそなえています。

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