ヒメダニの表皮には肥厚板がなくて体が柔らかいのでsoft ticksといっています。また、口器は腹面にあるので背面からはみられません。
このダニの中でナガヒメダニは鶏の害虫として諸外国では有名ですが、日本での実情は分からない。
ヒメダニの形態
ヒメダニはマダニhard tickと同様に顎体部と胴体部とに分かれています。
ヒメダニの体は革のような表皮がありますが肥厚板はありません。顎体部の位置はマダニと違って、若ダニと成ダニでは胴体部の腹面にあって、背面からはみえない。
口器は1対の細長い触肢、1対の鋏角および歯状突起をもつ口下片よりなります。しかし、幼ダニの顎体部はマダニ科と同様に胴体部の前方に位置しています。
雌成ダニには多孔域はありません。気門は第4脚基節の側方にあって、気門板はありません。眼はあるものとないものがあります。
4対の歩脚の末端にはマダニのような爪はありますが、爪間体はありません。
胴体部の長さは雌で8~9.5mmあり、幅より長くて卵円形をしています。体表皮は多数の網目状構造(disc,pit)となり、いろいろな形をした圏点といわれ、放射状に配列しています。
また、腹面の正中線上に生殖門と肛門が開口しています。生殖門は顎体部の後方に、肛門は体の後に存在します。
ヒメダニの生活史および習性
ヒメダニはマダニと同様に不完全変態をします。すなわち、卵、幼ダニ、若ダニ、成ダニと発育します。ナガヒメダニは鶏やその他の鳥類(七面鳥、鳩、アヒル、ガチョウ、カナリヤなど)時には人にも寄生し、fowl tickとよばれています。
このダニは世界の温帯、熱帯地方に広く分布し、鶏の病気のvectorとなっています。
日中は鶏舎内の壁の割目、鶏の巣、とまり木の近くなどにかくれ、若ダニ、成ダニは夜間活動し鶏に寄生して吸血します。
雌ダニは1回に10~100コを卵塊として産卵し、吸血、産卵を数回くり返します。
産卵場所は日中のかくれ場所で、10~28日たつと孵化して3対の脚をもつ幼ダニになります。幼ダニは若ダニ、成ダニとちがって日中も夜間も吸血します。
幼ダニは鶏の翼の中など一度鶏をおそうと約5日吸血して赤いボールのようになります。
飽血した幼ダニは鶏をはなれて落下して、物かげにかくれ約7日たつと脱皮して若ダニになります。
第1若ダニは夜間のみ吸血し、10~12日たつとさらに脱皮して第2若ダニとなります。その後、吸血、脱皮を3~4回くりかえし、ついに、成ダニになります。
若ダニ、成ダニは未吸血でも約5年生きているといわれています。
A.reflexusはpigeon tickハトダニといわれ、鳩に寄生します。O.megniniは熱帯地方に広く存在し、spinose ear tickといわれ、牛、馬、羊、犬、ときには人の耳殻内に寄生します。
O.megniniの幼ダニは宿主の脚をよじのぼり、やがて耳殻内に到達して吸血します。幼ダニは脱皮して若ダニとなります。
若ダニは耳殻内に121日も寄生するといわれ、その後地上に落ちて3回脱皮し、成ダニになります。成ダニは吸血せず、交尾後産卵します。
ヒメダニの害
鶏はナガヒメダニの寄生をうけると、寄生部位はひどく刺激されて不安状態になります。また、貧血し、時には死ぬことさえあります。
さらに、鶏のスピロヘータなどのvectorになっています。
O.megniniは家畜を聾にさせたり、死に導くことがあります。
ヒメダニの防除
本邦におけるヒメダニの害は不明であるので、はっきりしませんが、鶏舎内の環境改善と適時適切な殺ダニ剤の使用です。

