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シラミ目(Anoplura) ~ 形態・発育および習性・害・防除

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シラミ目(Anoplura) ~ 形態・発育および習性・害・防除 家畜害虫

 
 
シラミは背腹に扁平で、翅をもたず、不完全変態をして哺乳動物に全生涯寄生をします。しかし、鳥類には寄生しない。
 
 
また、宿主の種類によって寄生するシラミの種類は異なり、人に寄生するものは人のみ、豚に寄生するものは豚以外の動物には寄生しません。
 
 

シラミの形態

 
 
シラミは一般に眼がなく、ブタジラミのようにたとえ眼はあっても退化しています。
 
 
体は背腹に扁平で頭部、胸部、腹部の3部に分れています。大きさは小さなものが多いですが、ブタジラミのように約4mmもあって一見してわかるものもあります。
 
 
脚は頑丈でえびの脚のような形をしていて、各脚は同じ形をしています。
 
 

シラミの頭部

 

シラミの頭部は小さく、やや円錐形をしていて、頭の幅は胸の幅よりせまい。
 
頭部の先端には前方に突出した口吻吸部haustellumがあり、その腹面には小歯状突起があります。さらに口吻吸部の後方には上唇labrumがあります。
 
触角は3~5節からなり、雄、雌同型です。
 
シラミの口器は複雑な構造をしていて、常時は頭部の内部に引きこまれた位置にありますが、吸血時には突出します。
 
宿主の皮膚を刺して血液を吸収する器官は背刺針(小あご刺針)、中間刺針(唾液刺針)、腹刺針(下唇刺針)です。
 
背刺針は血液を吸収して咽頭、食道へと続いています。中間刺針は唾液を注入し、腹刺針は先端に鋭い微歯を有します。
 
これらの3刺針が束になって皮膚を刺します。
 
シラミの口器には小あごひげと下唇ひげはない。

 
 

シラミの胸部

 

台形をしていて翅はない。前胸、中胸、後胸は融合し、中胸部に1対の気門があります。一般に腹面には硬化の強い胸板sternal plateがあります。
 
脚は頑丈でえびの脚のようにみえます。各脚は同じ形をしていて5節よりなります。跗節は他の昆虫と異なって1節からなり、先端に爪を有します。

 
 

シラミの腹部

 

9節からなり、背板、腹板および側板を有します。
 
気門は3~8節の側板上に開口します。腹部末端は雄、雌で形が違い、雄は丸く突出していますが、雌では三角形の葉片に分れ中央は凹形になっています。
 
シラミの若虫の形態は成虫と同じですが、成虫より小さくて体のキチン化は弱く、生殖器は発達していません。
 
卵は楕円形で乳白色ないし黄白色をしていて、先端に蓋があります。

 
 

シラミの発育および習性

 
 
シラミは卵 → 若虫 → 成虫と不完全変態をします。
 
 
若虫nymphは3齢に分れ、それを第1若虫、第若虫、第3若虫といいます。この発育日数は温度、湿度によって異なりますが、卵が孵化するのに7日前後、孵化した第1若虫が脱皮して第2若虫になるのに5~6日、第2若虫から第3若虫へは4日、第3若虫が成虫になるのに4~5日で、卵から成虫になるまで約3週間を要します。
 
 
発育過程の若虫、成虫(雄、雌)とも吸血をします。
 
 
若虫はじゅうぶん吸血すると脱皮して次の発育段階に進みますが、成虫は交尾し、雌成虫はじゅうぶん吸血した後産卵します。
 
 
雌は1日に3~10卵を宿主の被毛に1個ずつ産みつけます。
 
 
卵の基部はセメント様物質で毛に強く膠着されています。雌成虫の産卵期間は20~30日でこの間に100~200個産卵します。
 
 
成虫の寿命は30~40日です。シラミは吸血しないでも数日生存できます。
 
 
シラミは光に対して背日性を示し、被毛の間を匍匐して宿主の体表に寄生しています。宿主嗜好性Host preferenceが強く、シラミの種類によって宿主は限られています。
 
 
また、寄生部位はブタジラミでは豚の腋下部、胸部、頸部、耳翼部、腹部などに多く、ウシジラミは牛の頭部、頸部、耳翼部、胸部、脚の内面、陰嚢、乳房などにおおい。
 
 
感染は患畜との接触によることが多いですが、患畜の体表から離れて他の動物に移動することもあります。シラミは全世界に分布します。
 
 

シラミの害

 
 
痒みがひどくて、そのため家畜は落着かなくなり、不眠となって食欲は減退します。また、痒みを軽減するため家畜は畜舎内外の杭、壁その他の器物に体をこすりつけます。
 
 
そして膿痂疹をおこすことがあります。
 
 
また、ブタジラミはある種のウイルスを、ウシジラミはトリパノゾーマのvectorとなっているといわれています。
 
 
これらはいずれも機械的な伝搬です。
 
 

シラミの防除

 
 
シラミの寄生している動物は隔離し、他の動物と接触しないようにすることがもっとも必要です。畜体および畜舎内外に殺虫剤を散布して若虫、成虫を殺す。
 
 
しかし卵は一般に殺虫剤に対して抵抗性が強いので定期的に駆除する必要があります。また、ダストバッグ法、薬浴法、pour-on法など省力的な駆除方法も実施されています。

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