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変形蹄(deformed hoof) ~ 不等蹄・大蹄・小蹄・狭窄蹄・挙踵・弱踵蹄・平蹄・蕪蹄・彎蹄・傾蹄・山羊蹄・仮性内向蹄

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変形蹄(deformed hoof) 蹄および爪の疾患

 
 
馬蹄には先天的な蹄形の異常を示すものと、後天的に蹄の疾患や四肢の外科病あるいは装蹄失宜によって変形するものがあります。
 
 
したがって、変形の特徴を知っておくことは、蹄病の診断上きわめて重要です。
 
 

不等蹄(anisopody)

 
 
左右の蹄の大きさや形が等しくないものをいいます。
 
 
先天的にもみられますが、削蹄装蹄の過失や肢勢の不良、あるいは四肢の帯痛性疾患にもとづく負重の不均衡から発生します。
 
 

大蹄(large hoof)

 
 
繋および球節の大きさにくらべて、蹄の容積が大きいものをいい、先天的のものが多いが、削蹄の過失・改装の遅延によってもおこります。
 
 

小蹄(small hoof)

 
 
繋および球節の大きさにくらべて蹄が小さいものをいい、先天的のものが多いが、一般に蹄鉄の初装の時期が早すぎたり、運動不足・蹄の乾燥・削蹄の過失によっておこります。
 
 

狭窄蹄(contracted hoof)

 
 
蹄角質の一部が縮小したもので、蹄の変形のうち、もっともしばしば遭遇します。
 
 
狭窄蹄には蹄踵狭窄contracted heels・蹄冠狭窄contracted coronet・蹄底狭窄contracted soleの三つがありますが、蹄踵狭窄(蹄球および蹄支角の各間隔の接近と蹄叉の萎縮)はもっとも多く発生します。
 
 
原因としては、肢勢の不良・蹄の乾燥および乾湿の急変・蹄の不潔・装蹄の過失・改装の遅延などが挙げられます。
 
 
狭窄蹄は一般に蹄機を阻害し、繋皸・蹄叉腐爛・裂蹄・蹄球炎などを発しやすい。
 
 
また、健康蹄が蹄病に罹患した場合に、蹄癌をのぞく大部分のものは、狭窄蹄になる傾向があり、特に蹄叉腐爛に罹患した場合は、蹄叉が萎縮し、蹄踵狭窄が顕著に現れます。
 
 

挙踵(transposition of bulbs)

 
 
蹄踵の狭窄によって蹄球が上方に隆起したものをいい、前蹄の内蹄踵に多発します。
 
 
原因は蹄踵狭窄とほぼ同様ですが、負重の偏りが重要な要素となります。
 
 
この変形は運歩の渋滞を招き、裂蹄・繋皸・蹄球炎などを併発しやすい。
 
 

弱踵蹄(thin wall and sole)

 
 
蹄踵壁の下部が内前方に巻き込み、蹄踵が著しく低いものをいい、後肢に多発します。
 
 
遺伝的要素が強いが、一般に、広蹄で蹄踵が低く軟弱なものに発しやすく、また運動不足や装蹄失宜もこの発生を助長します。
 
 

平蹄(flat hoof)

 
 
蹄壁の傾斜がゆるやかで、かつ蹄底が負面とほとんど同じ高さにあるものをいい、遺伝もしくは低湿地での育成によって発生する場合が多い。
 
 
一般に重種馬の前蹄に多く、蹄壁欠損・挫跖・白帯(白線)裂をおこしやすい。時には白帯(白線)裂に罹患したものが、装蹄失宜によって、本症を発することがあります。
 
 
なお蹄底、特にその後部および蹄叉が負面よりも凸隆したものは豊蹄といいますが、この場合は、蹄壁に、蹄冠から同距離をもって横走する明瞭な蹄輪が現れます。
 
 

蕪蹄(pumiced hoof)

 
 
一名瘤蹄ともいい、前蹄に多発します。
 
 
慢性蹄葉炎の結果、真皮葉と表皮葉の結合が分離し、蹄骨の沈下・蹄尖部の蹄冠の陥没および、その下部の凸隆ならびに白線の肥厚・蹄踵の発育促進・蹄底の下降がみられる変形蹄で、蹄輪は蹄前壁において相接し、蹄踵に至るにしたがって離開する特徴があります。
 
 

彎蹄(distorted hoof)

 
 
蹄壁の一側が凸彎し、他側が凹彎したものをいい、幼駒(跣蹄)に多発します。
 
 
不良肢勢にもとづく体重の偏り・装蹄の過失・削蹄の遅延・運動不足・山地の使役・重荷の輓曳および蹄叉糜爛にもとづく一側性の狭窄や挙踵の場合におこりやすい。
 
 
負面裂・白帯(白線)裂や蹄骨の変形をみることがあります。
 
 

傾蹄(asymmetrical hoof)

 
 
蹄の一側が急傾斜で、他側が緩傾斜のものをいい、跣蹄における削蹄の過失・蹄鉄適合の不良によって発生します。
 
 

山羊蹄(club foot)

 
 
蹄踵が高く、蹄尖および蹄側壁の傾斜が急なものをいう。
 
 
先天性に発することもありますが、後天性には後踏肢勢・起繋・熊脚bear footにみられ、また屈腱炎や飛節内腫のように蹄尖の負面による着地を行うもの、および山地の使役あるいは装蹄失宜によっておこることがあります。
 
 
なお、先天性の趾端の奇形として無蹄肢(anonychia)があります。
 
 

仮性内向蹄

 
 
複合肢勢である仮性内向肢勢に伴う蹄形であって、競走馬その他、各種の用役のものにも見られ、本邦の馬には比較的多い。
 
 
仮性内向肢勢は外向肢勢の変化したもので、肢勢は外向ですが、蹄尖は内向しており、不良な肢勢、削装蹄の失宜などが原因となります。
 
 
蹄形は本来外向蹄ですが、内蹄尖および外蹄踵の傾斜はゆるく、外蹄尖および内蹄踵の傾斜は急です。蹄尖は内向するにもかかわらず、負面の全形および蹄球の大きさが、本来の内向蹄とは、内、外相反します。
 
 
繋と蹄の方向が一致しないで趾軸は外方破折し、踏着は内蹄踵が先着し、球節は著明に内方に偏し、運歩の軽快を欠くものです。

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