ハエ防除の技術
ハエ防除に当って注意しなければならないことは次のようです。
◎ハエの習慣をよく知り、これにあった対策を講ずること。
◎いかなる技術でも、取扱いがむずかしかったり、危険を伴ったり、高価すぎてないけません。
◎ハエをいなくさせる、あるいは少なくするという意識をもつこと。
◎1回でやめないで、計画的に継続実行する。
◎地域運動として、共同防除をする。
ハエ防除の技術的な方法として、卵、幼虫、蛹、成虫の各段階でどのようなことが考えられるでしょうか。
ハエは畜舎内の家畜糞便、堆肥置場などの割合新鮮な糞便、あるいは家畜飼料の残餌などに産卵します。
この卵は目につきにくく、速やかにふ化して幼虫になるということを考えると、卵の段階で殺すということは困難です。
したがって、畜舎内外を清掃し、糞便を畜舎内に放置しないで、堆肥場あるいは適切な糞尿処理場に移動するという消極的方法に頼らざるを得ません。
また、卵は乾燥に弱いので、畜舎内に送風装置を使って糞便を乾燥させます。しかし、送風装置には設備費がかかるという弱点があります。
イエバエの卵、1齢幼虫の天敵であるハエダニを使って卵を捕食させるという方法があります。しかし、ハエダニをどうやって殖やすか、ハエの卵を選択的に捕食させる方法など、不明な点が多い。
ハエの幼虫は移動性に富み、暗い所を好みます。
また、幼虫の餌となるようなものがあればせまいところでも発育します。しかし、幼虫は過熱、過湿などに弱いという弱点もあります。
幼虫の習性を考慮して、その対策をたてなければいけません。それにはまず第1に、畜舎内外の整理、整頓、清掃をよくしなければなりません。
とくに畜舎内の四隅、柱の下などにはごみがたまりやすい。また下水路や排水溝などのごみはとり除き、汚水の流れをよくする必要があります。
幼虫の習性を利用して殺す方法として、密閉堆肥舎、堆肥盤、ビニールハウスなどがあります。しかし、これらは建設費用がかかることと、適切な取扱い、管理をよくしなければ、幼虫は外に逃げ出してしまいます。
ハエの発生源対策として、堆肥や糞便に殺虫剤を散布し、幼虫を殺す方法があります。これは散布した薬剤に幼虫を接触させなければならないので、糞便と薬剤をサンドウィッチのように交互に積み上げます。
一般に土中にいて外界とは硬いキチン質で保護されているので、自然界の諸要因、薬剤に対して安定しています。
一昔前、土中の蛹を殺す目的で、蛹堀り運動というものがありました。これは、便所の周囲のように蛹が多数いそうな場所の土を掘り起こし、その土は焼きすて、そのあとに新しい土をいれて埋めることです。
蛹を殺すには堆肥場の周囲の土を、このように焼くということ以外にはありませんが、経費や労力もかかりむずかしい。
一般にハエ防除というと、殺虫剤を使って飛んでいるハエを殺すことと考えられ実行しています。
畜産公害としてもっとも問題となっているハエはイエバエで、このハエの好む餌は人の食物や家畜の飼料などです。
これらの食物や飼料は格納箱に入れたり、蓋付きの容器に入れて、ハエが寄りつかないようにすることが重要です。
また、産卵のため飛来しないように、住宅や畜舎の出入口や窓は網戸やカーテンをとりつけることも必要です。
ハエは電燈線や針金などのような細いものに止まって、休息する習性があるので、縄のれんをつくり、これに殺虫剤を浸みこませて畜舎の出入口や窓の近くに吊るしておきます。
さらに、ハエの嗜好物と殺虫剤を混ぜて、ハエの集まりやすいところにおいておくと、ハエはここに集まり、これをなめて死にます。
これを毒餌法といっています。
ハエ、ことにイエバエは夜間、天井や壁などにとまり休息するので、このようなところにやや濃厚な殺虫剤を散布、あるいは塗布しておきます(残留噴霧法)。
空間噴霧とは飛んでいるハエを殺す方法で、一般的に行われていますが、ハエ飛翔の非常に多いときのみこの方法を使うのがよい。
イエバエなどは成虫で越冬することがあり、冬暖かな日には少数のハエが畜舎内を飛んでいることがあります。
冬のハエを殺すのは春、夏のように、ハエの多くなった時のハエを殺すより重要です。冬の雌ハエ1個体は夏のハエの何百、何千個体に相当することを考えるべきでしょう。
冬のハエは行動が鈍いので、ハエタタキ、ハエとりリボン、ハエとり紙などで徹底的に殺すようにします。

