PR

銅 Copper Cu ~ 症状

ボルドー液撒布 家畜中毒

 
 

銅・症状

 
 
銅は赤銅鉱Cu₂O₂、藍銅鉱2CuCO₃・Cu(OH)₂硫銅鉱Cu₂黄銅鉱Cu₂S・Fe₂S₂などの鉱石としてあるいは金属の形状で広く散在します。
 
 
銅は湿気に触れて塩基性炭酸銅Cu(OH)₂・CuCO₃(緑青)を生じ、空気中で熱すれば酸化第一銅Cu₂O(赤色)および酸化第二銅CuO(黒色)となります。
 
 
硝酸には容易に溶けて酸化窒素NOと硝酸銅とを生じ熱濃硫酸には亜硫酸ガスを発して溶け硫酸銅に変る。稀硫酸には徐々に溶解し塩酸・醋酸には空気に触れると徐々に溶けます。
 
 
即ち銅は酸化力のある酸あるいは酸素の酸化を伴う場合に溶解するものです。
 
 
したがって銅を含んでいる容器中に醋酸・乳酸・酒石酸などを入れて久しく空気に曝すと、一部分は溶解します。これに反して空気を絶った銅器中で酸を含む水を煮沸するも銅を溶解しない。
 
 
また銅はアンモニアと酸素との作用によつて溶解し濃藍色の液を作る。
 
 
銅は第一銅および第二銅の化合物を作り、酸化第一銅、ハロゲン化第一銅、シアン化第一銅などは前者に属し、酸化第二銅、水酸化第二銅、塩化第二銅、硫酸第二銅、醋酸第二銅、硫化第二銅などは後者です。
 
 
有毒性の銅化合物は硫酸銅CuSO₄・5H₂O、酸化銅CuO、炭酸銅、醋酸銅Cu(C₂H₃O₂)₂・H₂Oならびに種々の銅色素例えば岩緑青、岩紺青(炭酸銅および水酸化銅)、カッパーブラウンCopper braun(フェロチアン銅)、エジプト藍Aegypt blue(珪酸銅)、ボル緑Bor green(硼酸酸化銅)、および銅と亜砒酸系化合物のシエールス緑Scheels green、カルク緑Calk green、シュワインフルテル緑Schweinfurtergreen、銅とクロームの化合物クローム褐(クローム銅)があり、家畜中毒と関係の深いものを挙げると次の通りです。
 
 

(1)酸化第一銅 Cu₂O

 

粉末の銅を徐々に酸化するかまたは水酸化第二銅をブドウ糖と共に熱すると生ずる赤色粉末で、塩酸に溶けてHCuCl₂を生じ、アンモニア水には無色のCu(NH₃)OHを生じます。

 
 

(2)酸化第二銅 CuO

 

銅を空気中で強熱すれば生ずる黒色の粉末です。

 
 

(3)水酸化第二銅 Cu(CH)₂・nH₂O

 

Cu”にアルカリを加えると生ずる青緑色膠状沈殿物です。

 
 

(4)醋酸第二銅 Cu(C₂H₃O₂)₂・H₂O

 

銅に醋酸が空気中で作用すると生ずるもので、炭酸銅と同様緑青ともいいます。
 

6Cu+8CH₃・CO₂H+3O₂=2Cu₃(OH)₂(CH₃CO₂)₄+2H₂O

 
而して単に醋酸のみならず他の有機酸によつて種々な銅化合物を生ずることは特に注意を要することです。

 
 

(5)硫酸第二銅(硫酸銅・丹礬・胆礬 CuSO₄・5H₂O Blue vitriol

 

最も普通の銅塩で硫化銅を焼くかあるいは銅屑に硫酸を加え加熱して作りますが、大部分は銅の電解精錬に際して生ずる硫酸銅廃液を濃縮放冷し結晶としたものです。
 
硫酸銅は5分子の水を含み藍青色透明の三斜晶結晶で、空中に放置すれば表面は風化して白色の粉末を生じます。
 
100℃に熱すれば4分子の結晶水を失って1水化物CuSO₄・H₂Oとなり200℃では無水CuSO₄となり白色の粉末に変りますが、これは容易に水を含み元の青色に復する。
 
硫酸銅はアルコールに難溶、水に溶け易く温度の上昇に比例します。
 
100分の水に対し各温度で溶解する量は次のようです。
 

温度:0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
 
CuSO₄:18.2 20.9 25.5 26.6 30.2 34.1 38.8 45.0 53.1 64.2 75.3
 
CuSO₄・5H₂O:31.6 36.9 42.3 48.8 56.9 65.8 77.4 94.6 118.0 156.4 203.3

 
硫酸銅は脂肪に溶解し易いが特に肝油、魚油、蛹油、荏油、亜麻仁油、大豆油、菜種油、椿油、牛脚油には良好で牛脂、豚脂、ヤシ油は不良です。
 
この性質は家畜中毒の原因と密接な関係があります。
 
市販の硫酸銅は純度98%内外で不純物としては鉄・コバルト等を含み、結晶の色はコバルトが多いとは濃藍色を呈し純度が高いものと誤る惧があります。また緑色を帯びるものは硫酸鉄を含みます。
 
本邦に産する硫酸銅は1ヶ年約6000トンで、その80%以上は農業薬剤として各種ボルドー液に使用されます。

 
 
銅剤は一種の殺菌剤で、農業としては重要な撒布剤で、次のものがあります。
 
 

a)石灰ボルドー液(ボルドー液、硫酸銅石灰液、瑠璃液)(劇物)

 
 
本剤は石灰と硫酸銅を化合させた青藍色の粘気ある液体で最も広く使用され、ボルドー液の代表的なものです。
 
 
製法は石灰乳をよく攪拌しながら硫酸銅液を加えるべきで、混合の仕方が変わると生成する液成分の性質が劣るといわれる位であるから、本液の有効成分の科学的変化は未だ充分に判明していません。
 
 
硫酸銅と生石灰を作用させると、大部分は塩基性硫酸銅CuSO4・3Cu(OH)₂となり、他は酸化銅、硫酸カルシウムと硫酸銅との複塩で、有効成分の一般式としてはCuSO₄・xCu(OH₂)・yCa(OH₂)・zH₂Oで表されています。
 
 
然しながら混和の最初に生ずる物質と全部混和された後の物質とは同一でなく、初めは塩基性硫酸銅を生成し、後に水酸化銅Cu(OH)₂を生じます。
 
 
したがって現在のところこの毒成分は塩基性硫酸銅であるというものと、水酸化銅を主張するものとの二つに分かれていて、何れとも決定されない。
 
 
また原料の割合や製造法、温度などによって種々異なった組成を示すものです。
 
 
ボルドー液は硫酸銅450gに対する生石灰の量と水量によつて名称が異なります。したがって家畜中毒の場合は硫酸銅の濃度に留意しなければなりません。
 
 
本液の貯蔵と効力との関係は液温、原料の品質および原料比などによつて異なりますが、貯蔵によって減退することは事実で、殊に日光、空気に曝して貯えたものは暗所貯蔵に比し毒性は速かに減少します。
 
 
例えば30℃、暗所貯蔵に就いてみるに、調製直後は0.3~0.5%のものでも有効ですが、1週間を経過すれば無効となり1%以上でなければ奏効せず、2週間では1.5~2.0%で有効、3週間後は2.0%も無効となります。
 
 
また空気に曝して貯えた場合は調製時の有効濃度は0.4%で30分、1週間後は1%30分であり、2週間後は3%まで無効です。
 
 
降雨と撒布後の関係は本剤が元来雨前撒布を有利とする位であるから、他の薬剤に比すれば流出は少ないが豪雨の場合は、短時間でも流出量多く少雨は長時間に亘るも少いという報告があります。
 
 
これは一に粘着力によるもので、展着剤を加えたもの程流出量は少ない。実際使用した場合、強い雨のない限り大体10~14日間を経過すれば急速に毒力が減退するものと考えられています。
 
 
石灰ボルドー液は桃、李、白菜、漬菜、小麦などのように銅に敏感なものを除き殆ど凡ゆる作物に撒布されます。
 
 

b)銅水和剤

 
 
有効成分は製品によつて異なりますが塩基性塩化銅CuCl₂・3CuO・3H₂O(特性王銅)、塩基性硫酸銅CuSO₄・xCu(OH)₂・yCa(OH)₂で、銅含有量は19~24%です。
 
 
(製剤…塩基性塩化銅34%(銅として20%)を含み、水18ℓに対し38~75g、カゼイン石灰などを加える。塩基性硫酸銅43%(銅として24%)を水18ℓに45~94g、展着剤を加えて作る。

タイトルとURLをコピーしました